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武田秀文

「人生はそれから先が本物」


私の28回目の誕生日に家族4人で我が家のすぐ近くにある教会の礼拝に出席しました。初めてのことなので戸惑いもありましたが、聞こえてくる賛美歌が私の心を落ち着かせてくれました。その後、その教会の牧師先生の我が家への再三の訪問が始まったのですが、それが次第に苦痛に感じるようになってきました。日曜礼拝参加は接待ゴルフの無い月1回か2回になっていました。聖書はチェーン付きの高価なものを買い求めましたが、あくまでも礼拝の行くときの必需品に過ぎませんでした。私は当時、それなりの会社を経営しておりましたし、家庭も仕事も順調そのものでした。

ところが35歳になった頃、突然大災害が私の上に降りかかってきたのです。一夜にして会社の存続が困難な状況となってしまい、私の人生は180度変わってしまったのでした。手元に残った財産らしきものは、仕事の付き合いで加入していた生命保険だけでした。どうしようか悩んだ末、私の出した結論は、自らの命を絶って受け取る保険金でなんとかこの状況をおさめることでした。ただただ、どのように死のうかと考えながら川沿いの堤防をさまよっていたその時、私の耳に以前教会で耳にした曲「いつくしみ深き」が聞こえてきたのです。 私はその賛美歌に導かれるようにこの曲が聞こえてくる方向に近寄っていきますと、そこには教会がありました。その日は日曜ではなく平日だったのですが、 その日、週に一度の聖会隊の練習をしていたのでした。

「私はとこしえまでもあなたに感謝します。あなたがこうしてくださったのですから。私はあなたの聖徒たちの前で、いつくしみ深いあなたの御名を待ち望みます。」詩篇 52編9節 

私はこれを機に、「また人生を続けよう。まだ35歳、これから先の人生のほうが長いんだから」と思い直し、新たな人生の一歩を歩き始めたのでした。 
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